ベンチデザインコンペ第1弾

まずは、小さなものでも構わないので、街に形を残していこうという考えのもとに企画いたしました。2007年(平成19年)のことです。
まちづくりのために活発に様々な議論を交わしていくのも大事なことなのですが、その結果として、いたずらに時間ばかりが経過して、何もまとまらず、全く形として残せていない、そんなジレンマを抱えていた時期でした。
ベンチのデザインを公募したところ、70を超える作品が集まりました。様々な年齢層の方々から応募がありました。慎重に審査を重ねまして、小学校6年生の女の子の作品を最優秀賞として選定し、2008年(平成20年)に製作を行い、土浦駅前西口のバス停に設置されることとなりました。その後、蓮をモチーフにしたデザインの趣旨を継承しながら、メンテナンスを重ね、現在は土浦駅東口バス停に設置されています。

最優秀賞採択作品
土浦駅東口バス停(2022年撮影)

メンテナンスは建築士会の会員の手で行ってきました。

中城通りポケットパーク整備事業

土浦市内では数少なくなった歴史的建造物が集積する旧水戸街道(中城通り)に土浦市所有の駐車場があります。
歴史的街並みに白いスティールフェンスという、そんな景観(下記左側写真)に違和感を抱いた私たちは、小さなことでも形にしていくことを念頭に、土浦市に「ポケットパーク整備事業」を提案しました。白いスティールフェンスを撤去して、コの字型で板塀化し、その内部に木製ベンチを設置する計画です。それは震災前の2010年(平成22年)のことです。土浦市との交渉に3年近い月日を要し、2014年(平成26年)度より創設される「まちづくりファンド」を活用することとなり、工事費82万のうち、半額の41万円をその補助金、残り半分を茨城県建築士会土浦支部にて負担することで合意し、木工事等、建築士会員で出ることはボランティアで行い、板塀の塗装は住民の方の協力を得ることが出来て、2015年(平成27年)1月、無事、その整備を終えました。

工事着工前
中城通りポケットパーク整備事業完了
常陽新聞 平成27年1月7日
茨城新聞 平成27年1月30日

これらのポケットパーク整備事業などのまちづくり活動の功績が認められた結果、平成27年7月に建築士会土浦支部が土浦市景観まちづくり団体(第1号)に認定され、年間最大30万円の補助金が景観まちづくりの活動費として受けられることとなりました。
また、嬉しいことに、すぐ近隣の方から、板塀整備の依頼もございました。ポケットパークと同じ「大和塀」のデザインです。翌年、整備工事を行いました。

工事着工前
板塀整備完了

きらり、土浦 Ⅱ~街並みの景観と空き店舗の活用を考えるワークショップ

土浦市より景観まちづくり団体としての認定を受けて第1弾としての活動です。2015年(平成27年)12月に開催しました。建築士会員だけでなく、地域住民、地域団体、行政関係者などを交えて、80数名の参加がありました。
中城通り・亀城公園を中心に街歩きとグループディスカッションを行い、将来まちづくりに活用できる資源や、空き家・空き店舗の利活用の問題、残念ながら失われつつある歴史的景観などについて議論を交わし、今後の課題について共有しました。このワークショップで得た様々な意見や知識は現在のまちづくり活動に生きています。
2017年(平成29年)にその続編となるワークショップを開催し、議論を深化させ、具現化する作業を行っています。

座学
街歩き
ディスカッション
発表

今回のワークショップの成果はパネル化し、イオンモール土浦、土浦市役所・市民活動コーナー、さんあぴお、中城通り井戸端庵、りんりんポート土浦、土浦市消費生活展などで展示を行い、ノートに市民の皆様のご意見を書いて頂きました。尚、イオンモール土浦、さんあぴおでは会員作品展も併設しました。

イオンモール土浦
中城通り井戸端庵

ワークショップの意見で、中城通りポケットパークに土浦の歴史を記した毛筆の看板を設置してみました。

りんりんポート土浦にサイクルラック設置

サイクリングを楽しむ方々のための休憩施設であり、土浦港周辺広域拠点でもある「りんりんポート土浦」が、霞ヶ浦湖畔に、2019年(平成31年)オープンしましたので、当支部が製作したサイクルラックを5台ほど納入してきました。
霞ヶ浦を象徴する帆引き船をイメージしたデザインです。
ちなみに本県のつくば霞ヶ浦りんりんロードは、ナショナルサイクルルートに指定されました。
サイクリングを通じて、賑わいの創出、街の活性化が図られていきますことを祈願します。

シャワールームも完備されているりんりんポート土浦
サイクリストの皆様に愛用されています

ベンチデザインコンペ第2弾

少子高齢化が進み公共交通の重要性が高まるなか、土浦の中心市街地のコミュニティバスである「キララちゃん」バスの停留所の環境の改善を図るため、2020年に「ベンチデザインコンペ」を開催しました。翌年、最優秀賞に採択したベンチの製作を行い、「キララちゃん」バスの停留所のなかでも乗降率の高い「ピアタウン土浦」に設置しました。

最優秀賞採択作品
ピアタウン土浦北口にて

作成風景
ベンチは木製とし、脚および座面・背もたれの下地は鉄にて製作しました。

ベンチの塗装については地域社会との連携を考慮し、土浦二中美術部の皆さんに依頼しました。

地域の皆様に愛用されています
2021年4月26日茨城新聞

歴史的建造物状況確認調査

2021年(令和3年)度、土浦市からの委託で、土浦市内の約200棟の歴史的建造物の悉皆調査を行いました。ここまで大掛かりな歴史的建造物調査は、昭和53年に東大、筑波大、東京都立大等が行った伝統的建造物群調査以来のこととなります。幸い、当支部には10名弱のヘリテージマネージャー(地域文化財専門技術者)を擁していましたので、万全の体制で臨むことが出来ました。 今回の調査結果は、土浦市が策定する文化財保存活用地域計画、歴史的風致維持向上計画(歴まち)などに活用されることとなります。
今回は調査という名称ではありますが、広義の意味では、「まちづくり」的側面も有します。土浦市は豊富な歴史的資源を持っています。建築士の立場から、どのように資源を生かしてまちづくりを行っていくかを提案していく責務があると考えておりますので、ご指導とご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

真鍋宿通り
大徳・国登録文化財
土浦聖バルナバ教会
矢口家住宅・県指定文化財
土浦城跡(櫓門)・県指定文化財
旧土浦中学校(現在・土浦一高)本館・重要文化財